ワインエキスパートのひとりごと

気ままなワインの話 Pleurs

醸造

ワインの醸造⑦

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圧搾したワインは赤も白もタンクに入れて第二次発酵に入ります。

ワインには若飲みタイプと熟成タイプがありますが、小林ワインはブドウによって熟成方法を変えています。赤ワインで言うと、マスカットベーリーAやピオーネはブドウ本来の香りやフレッシュ感を前面に出したいのと新酒として年度ごとに出したいので、ステンレスタンクで発酵させ酸素とあまり触れさせないようにして若飲みタイプにしています。(マスカットベーリーAは一部、樽熟成にしているワインもあります。)


小林ワインの赤ワイン専用品種(ピノ・ノワール、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン)については、現在はカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランはタンク発酵のみでタンク熟成を行いますが、それ以外はタンク発酵のあと樽に詰めて樽熟成を行ない、ワインを育成しています。醸造者がワイナリーとしてどんなワインを造っていきたいか、皆様にどんなワインで楽しんでいただきたいかの計画で変わっていきます。

全てのブドウは圧搾してからまずステンレスタンクの中で「マロラクティック発酵(MLF)」に入ります。

MLFは、アルコール発酵に続いて起こる反応で、ワイン中のリンゴ酸が乳酸菌の働きにより乳酸に変わることを指します。 リンゴ酸(Malic acid)が、乳酸(Lactic acid)に変化する発酵(Fermentation)ということで、Malo-Lactic Fermentation(MLF)と書きます。リンゴ酸は、未成熟なブドウに多く含まれており、リンゴ酸の濃度が高いと尖った酸味を感じます。
乳酸菌の働きによって、このリンゴ酸を乳酸に変化させることで、減酸効果がおきて、味わいがまろやかになり、微生物的に安定します。

MLFの副生成物として、バターや乳製品(ダイアセチルによる)、もしくはバラの香り(βダマセノンによる)が生まれます。これらは少量であればワインに複雑で奥行きのある香りを与えますが、過剰に生成されるとオフフレーバー(欠陥臭)となるそうです。

ワインの香りは勉強するまで全部ブドウからくるものと思っていましたが、あの複雑な香りはどうやって生まれてくるのか知れば知るほど論理的...奥が深いです。

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