ワインエキスパートのひとりごと

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樽熟成とステンレスタンク熟成

投稿日:2023年12月7日 更新日:

昨日、納品用のワインをテイスティングしたとお伝えしましたが、その中のメルローの色味の違いについてお話ししたいと思います。

ワインの熟成方法として「樽熟成」と「ステンレス熟成」があります。それぞれの特徴を簡単に説明します。

  1. ステンレス熟成 (Stainless Steel Aging)
    • ステンレス熟成は、ワインをステンレス製のタンクで熟成させる方法です。
    • 樽熟成と異なり、酸素の影響をほとんど受けず、ワインのフレッシュな果実味や香りを保持することができます。
    • 清潔で中性的な環境のため、ワインの本来の風味をそのまま楽しむことができます。
    • 温度管理が容易です。
  2. 樽熟成 (Oak Barrel Aging)
    • 樽熟成は、ワインをオーク樽で熟成させる方法です。
    • 樽からの微量の酸素の透過により、ワインはよりまろやかになり、複雑な風味が増します。
    • オーク樽からは、ワニリンやタンニンなどの風味成分がワインに移り、特有の香りや味わいを与えます。

どちらの熟成方法も、ワインの種類や目指す味わいによって選ばれ、ワインの多様性と個性を豊かにしています。

で、今回のメルローですが、左がステンレスタンク、右が樽で熟成しています。

同じ時期に収穫して、途中からステンレスタンクと樽に分けているのに、こんなにも色味が違いますね。
樽の中でワインを育成すると、樽材からタンニン分が溶け出しワインの中の濁り成分とくっつき、底に沈殿していくことで粗いタンニンの角が取れていきます。また、木目から微量の酸素が入ってくるので、ステンレスタンクより熟成が進みやすくなります。新樽が最も酸素透過率が高いのでワインの味わいもまろやかになっていきます。そこに樽の成分が混ざり合いロースト香やココナッツ香がしたり、複雑な風味になっていくわけです。

樽熟成の複雑な風味と味わいがいいか、ステンレスタンク熟成のフレッシュ感がいいかは好みが分かれるところですが、それぞれに合った料理と一緒に楽しむのが一番ですね♪

一般的に赤ワインに含まれるタンニンや色素は、時間とともに酸化し、色が変わります。若い赤ワインは通常、濃い紫色またはルビー色をしていますが、熟成により色がオレンジや茶色がかった色へと変化します。
上の2つのワインも同じ時期に収穫しているのに、酸素を透過する樽に入れることでオレンジ系の色味に変化したのでしょうね。

今回ご紹介したワイン

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